猟犬の起源は古く、人類の狩猟活動と共に始まり、今日までもその営みは続いています。我国においても同じで太古より使われてきましたが、銃猟のコンパニオンとして猟犬が盛んに使われ始めたのは明治中期頃とされています。
その始まりは開国後の幕末期、横浜在住の外国人貿易商によって国内に持ち込まれたポインター種といわれています。当時の最新スポーツであった銃猟は序々に広まり、猟犬の輸入、飼育、繁殖が盛んとなりました。そして、昭和10年には全国規模の狩猟犬団体(全日本狩猟倶楽部)が結成され、猟犬界発展の原動力となりました。
雉猟を例にしてみましょう。移動中に雉を発見して忍んで撃った、河川敷の藪を歩き、踏み出しで雉を獲った、ということは立派な雉猟です(銃砲を使用しているというものの、眼力、体力で捕獲したことは狩猟の原点でしょう)。しかし、もしそこに猟犬がいれば、獲物を手にした時の喜びは格別なものがあります。手塩に育てた愛犬が巧みな捜査をし、雉をひねり出す姿は瞼に残り忘れえぬ思い出となります。
出会った獲物と遭遇した狩猟家を繋ぐものが多ければ多いいほど話題は膨らみます。普通、この間を繋ぐものは銃砲と弾丸ですが、ここに猟犬が加わることによって狩猟の物語は大きく変わります。猟犬を飼ってみて下さい。猟場での思い出を増やし、周りの人々に犬で獲物が獲れた話をして下さい。猟犬を飼って、そのことを伝えることが狩猟家の発展に繋がるものと思います。
【参照】 イラストは、狩猟雑誌「猟の友」(明治35年)に掲載されているものです。