〇 その他、カタログで気がついたこと ~ライフルはどうした~
今までいろいろ見てきましたが、一つだけ「おや?」と思ったことがありました。
これまで、「散弾銃」について述べてまいりましたが、「ライフル」だっていろんなメーカーやモデルはありましたし、どんな品揃えだったのか、興味をもたれているのでは、と思います。
これが一言でいうと、ほんとに「載ってない」というか、扱い品目として「ない」というか、「品薄」なのです。カタログで順をおってみますと、
・川口銃砲店カタログ、明治30年頃(資料②)
⇒ 該当なし (空気銃、22口径射的銃を除く)
・佐々木銃砲店カタログ 明治30年(資料①)
⇒ 該当なし (空気銃、22口径射的銃を除く)
やっと、その後の時代になってから、「扱って」くれるようになりました。
・日本銃砲店カタログ 大正2年(資料④)
⇒ 該当、3点あり
⇒ Winchester Model 1910 (自動式、口径違いあり)
⇒ Remington Model 8 (自動式、口径1種のみ)
⇒ Bullard Single Shot Rifle (単発、口径表記なし)
・日本銃砲店カタログ 大正3年(資料④)
⇒ 該当、4点あり
⇒ Remington Model 8 (自動式、口径1種のみ)
⇒ Winchester Model 1905 (自動式、口径違いあり)
Winchester Model 1907 (自動式、口径違いあり)
Winchester Model 1910 (自動式、口径違いあり)
・大倉組銃砲店カタログ大正3年(資料⑤)
⇒ 該当、2点あり
⇒ Winchester High Wall Standard Model (単発、口径1種のみ)
Winchester Model 1892 Rifle (レバー式、口径1種のみ)
散弾銃が、値段こそ高いものの、輸入・国産とりまぜてあるのに対し、「ライフル」の方はさびしい限りです。やはり、大先輩たちも「ライフル所持」には別の意味で、ご苦労があったようです。
すでに海の向こうでは、MauserのM1871/84(ボルトアクション)が発売されていましたし、その後有名なM1898も出てきます(軍用だけでなく、コマーシャル・バージョンも)。また、命中精度では定評をとった、カナダのRoss Rifleもすでに発売されています。
このような「販売状況」ですと、当時もやはり、お上の意向にはさからえなかったのではないか?と、思う次第ですがいかがでしょうか?
あれこれと中途半端な話ばかりでしたが、今回の執筆を機会に、なお一層、知識の至らない部分を、皆様のご指導で努力をしてゆきたいと存じます。
〇参考文献ならびに資料、HP掲載等出典
①仮図入 銃砲火薬猟具類定価表
小樽佐々木銃砲店 発行、明治30年(1897)6月
②猟銃猟具定価表
川口銃砲店 発行、明治30年前後(推定)
③銃砲猟具雛形図解 営業案内(下)
日本銃砲店 発行、大正元年(1912)10月
④銃砲猟具雛形図解 営業案内(上)
日本銃砲店 発行、大正3年(1914)9月
⑤大正3年改正 営業案内
大倉組銃砲店 発行、大正3年(1914)
⑥銃猟界臨時増刊「射撃始」
金丸銃砲店 発行、明治39年(1906)1月
⑦銃猟新書
十文字信介 著、金港堂 刊、明治24年(1891)、
⇒ <近代日本狩猟図書館>第2巻(大日本猟友会 発行)、収載より
⑧銃猟新書 続篇
十文字信介 著、金港堂 刊、明治25年(1892)、
⇒ <近代日本狩猟図書館>第2巻(大日本猟友会 発行)、収載より
⑨最新 銃猟研究
鈴木俊行 著、三徳社 刊、大正11年(1922)
⑩日本狩猟史
水越隆平 編著、日本狩猟史刊行会 刊、昭和32年(1957)
⑪ガン・ハンドブック
小川菊松 編集、狩猟界社 発行、昭和37年(1962)4月
⑫(増補)図解古銃事典
所 荘吉 著、雄山閣出版 刊、昭和49年(1974)、第3版発行
⑬狩猟伝承 ~ものと人間の文化史14~
千葉徳爾 著、財団法人 法政大学出版局 刊、昭和50年(1975)初版発行
⑭反射炉 Ⅰ大砲をめぐる社会史 ~ものと人間の文化史77-Ⅰ~
金子 功 著、財団法人 法政大学出版局 刊、平成7年(1995)初版発行
⑮小銃 拳銃 機関銃入門
佐山二郎 著、光人社 刊、平成12年(2000)初版発行
⑯ミリタリー・スナイパー
MARTIN PEGLER 著、岡崎淳子 訳、大日本絵画 刊、平成18年(2006)
初版発行
⑰企画展示「歴史のなかの鉄炮伝来 ~種子島から戊辰戦争まで~」解説図録
国立歴史民俗博物館 編集、(財)歴史民俗博物館振興会ほか 共同発行、
平成19年(2007)、第2版
⑱鉄砲伝来の日本史 ~火縄銃からライフル銃まで~
宇田川武久 編、吉川弘文館 刊、平成19年(2007)初版発行
⑲鉄砲を手放さなかった百姓たち
武井弘一 著、朝日新聞出版 刊、平成22年(2010)
⑳MAUSER RIFLES
LUDWIG OLSON 著、NRA BOOK SERVICE 発行、1985年(昭和60)
㉑THE SNIDER―ENFIELD RIFLE
CHARLES J. PURDON 著、MUSEUM RESTORATION SERVICE 発行、
1990年(平成2)
㉒FLAYDERMAN’S GUIDE 9th EDITION
GUN DIGESTBOOKS 発行、2007年(平成19)
㉓THE PATTERN 1853 ENFIELD RIFLE
PETER SMITHURST 著、OSPREY PUBLISHING 発行、
2011年(平成23)
㉔PICTORIAL HISTORY OF THE RIFLE
G.W.P. SWENSON 著、IAN ALLAN 発行、1971(昭和46)、第1版
1Retire「幹さん」のH/P より~銃砲・火薬の歴史~
http://www.cc.rim.or.jp/~matu~milk/gyoukairekisi(2).hylm
2野生生物に関する制度等の概略史(1870-2000)
http://www.biodic.go.jp/cbd/5/tu1-2.PDF
3きのこたけ戦争資料館 ~別館HP~より
http://www35.atpages.jp/tokorozawa/faq11mr02d.html#20885
4モーターワークスカンパニー おすすめリンク~社長の道楽~より(MWCホールディングHP内 )
http://www.piyoyonet.com/douraku/shoot/mukasibabanasi.html
5日本の武器兵器 ~須川薫雄氏主宰HP~より
http://www..日本の武器兵器.jp/archive
6日本銃砲史学会 HPより
http://www.fhaj.jp/
7大日本猟友会 HPより
http://www.moriniikou.jp/
8無可動実銃販売元 株式会社シカゴレジメンタルス HPより
http://www.regimentals.jp/
9徳川家康の東金鶴御成および明治時代の雄蛇ヶ池猟区考察
~吉田義明氏主宰HP、「レイクチャンプ」より ~
http://wakasagi.jpn.org/js-news06-189210.htm
10明治初期の熊本南部における野生哺乳類の生息、狩猟および被害の分布
~「森林防疫 Vol.59、No.2(No.677)、2010 3月号」~ より
http://cse.ffpri.affrc.go.jp/myasuda/pdf/Yasuda2010b.pdf
11北陸地方における鳥猟文化の変遷に関する研究
~2007年度 日本海学研究グループ支援事業 研究成果発表会~ より
http://www.nihonkaigaku.org/library/group/i070401-t5.pdf
12開拓使期における狩猟行政 ~北海道鹿猟規則制定過程と狩猟制限の論理~
北海道大学付属図書館 データベースより
http://src-hokudai-ac.jp/inoue/north_eurasian/momose.pdf
13株式会社 三田商店 HPより ~会社案内110年のあゆみ~
http://www.mita-gnet.co.jp/enkaku/enkaku_meiji.html
14ドイツ・マウザー社 HPより
http://www.mauser.com/Home.home.0.html?&L=1
15日本と世界のお金の歴史 雑学コラム
http://manabow.com/zatsugaku/column06/
http://manabow.com/zatsugaku/column06/2.html
16教えて!goo 検索サイト「明治5年の1円は?」
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/7138577.html
17YAHOO!Japan 知恵袋 検索サイト「大正時代の1円は?」
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1160038581
18東京都小平市公式HP ~村の鉄砲のゆくえ~
http://www.city.kodaira.tokyo.jp/kurashi/031/031806.html
19YAHOO!Japan 知恵袋 検索サイト「火縄銃で狩猟に使ったのでしょうか?散弾は
使えたのでしょうか?」
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1462618589
〇 資料ならびに、取材・執筆にご協力いただいた、関係各位
・有限会社 浜田銃砲店
(東京都千代田区外神田5丁目2-2)
・一般社団法人 大日本猟友会
(東京都千代田区九段北3丁目2-11)
あらためて御礼申し上げます。
― 了 ―