開会挨拶にて、佐々木会長は、「健全な狩猟文化の育成のために、社会貢献意識が高いハンターのクラブとして社会的使命をしっかり果たしていきたい。また、ハンティングを通じた国際交流も積極的に行っていく」と述べた。続いて、来賓として、参議院議員で鳥獣議連事務局長の鶴保庸介氏と環境省大臣官房審議官の小川晃範氏が祝辞を送った。

　RHCは、従来にない狩猟愛好団体として、より多くの人にハンティングの魅力を伝え、楽しんでもらえる環境作りに取り組む。日本では、ハンティングというと動物を殺す、といった特異なイメージで捉えられてしまうが、日本人に馴染み深い漁業や釣りも海のハンティングと言える。
　本場・英国では、ハンティングは、五感を研ぎ澄ませ、自然や野生動物と真剣に対峙し、駆け引きを楽しむ文化である。高貴な文化、上流な社交界であり、ドレスコードやマナーが存在し、“スポーツハンティング”という文化が根付いている。

　RHCは、英国やヨーロッパのハンティングの見習うべき点を日本にも取り入れるべく、研究・情報収集し、国際交流をはかっていく。設立に先駆け、7月には、おだち会長と副会長の内海通氏が、英国・ブレナム宮殿にて行われたハンティングフェア「CLA Game Fair」（7月16日～21日、14万人来場）を視察。CLAのヘンリー・ロビンソン代表、ロス・ムーレイ副会長との親交を深めた。また、6年後のオリンピックを見据え、日本のハンティングの魅力を発信し、ハンティングを通じたインバウンド・アウトバウンド双方向の観光交流も目指す。北海道は、すでにサーモンフィッシングは世界的に有名だが、ハンティングフィールドとしても世界有数の魅力的なデスティネーションなのである。現段階では、外国人は日本国内でのハンティングは許可されていないが、法律を改正すれば、外国人ハンターを誘致することが可能となる。今後、法改正への働きかけも行っていくという。同時に、日本人ハンターを外国のハンティングフィールドへ案内する窓口としても活動する。

ハンティングはカントリーライフ。衣食住を具現化した文化

　本場ヨーロッパでは、ハンティングは、紳士淑女の上質なライフスタイルつまりカントリーライフであり、「衣・食・住」を具現化した文化である。

　1835年創業の英国発祥のガンメーカー「Holland & Holland」は、1989年にシャネルの傘下に入り、アパレル（カントリースタイル）を強化。昨今のツイードブームを牽引するなどハンティングはファッションでもあり、そのスタイルはファッションの世界に影響力をもつ。そもそも、シャネルのアイコンであるツイードは、1920年代当時、恋人だったウエストミンスター公爵が着用していたツイードのハンティングジャケットからアイデアを得て取り入れられた。

　食で言えば、野生鳥獣による農作物被害の広がりを背景に、日本でもシカやイノシシなど野生鳥獣の肉を食材にするジビエ料理が注目されている。また、効率のみを追求した大量生産のために、さまざまな薬剤や添加物が投与された食肉への不信感があり、生命力ある野生動物を食すことへの関心がますます高まっている。しかし、肝心のハンターは高齢化し年々減少しており人手が足りていない。

　内海副会長は、北海道に英国スタイルのマナーハウス「HAZEL GROUSE MANOR」（www.hazelgrouse.com）を所有・運営している。全８室のホテルで、ハンティングをはじめ、乗馬、釣り、ネイチャーウォッチング、カヌー、カヤックなど数々のアクティビティを提供し、大自然を舞台にカントリーライフを満喫できる。RHCが提唱するハンティングの衣食住の世界観は、ここで体験することができる。

　RHCの啓蒙活動が、日本におけるハンティングへの偏見を払拭し、ハンター人口の増加へつながることに期待したい。このままハンターが減少し続ければ、野生鳥獣の増加により農林水産業は打撃を受け、自然環境が破壊されていくという切実な問題も抱えているのである。また、国際交流活動により、国内外ハンターの双方向の旅行需要にも今後、要注目だ。

Royal Hunting Clubウエブサイト
www.royal-hunting-club.com