獲物に向けての射撃の動画は携帯電話でも簡単に撮影が出来る今日この頃とはいうものの、会心の発射を捉えることは稀なこと。私はライフル銃でハンティングを始めて幾年も経ちますが、満足いく1発を映像に残すことは今まで出来ませんでした。
私にチャンスが訪れたのは2015年の12月6日。それはプロハンターKA師匠と出猟した日です。
鹿までの距離は400mちょうど。風は右から左へと前方にはかなりの強風が吹き荒れています。当然ながら、弾道には影響が出てきます。私の銃はスコープを300mで照準調整してありますので、400m先の射撃はかなり楽となります。風が無ければ、鹿の背中の上、20cmを狙うことになりますが、当日の様な強風となると、弾丸の流れを読むことはかなり難しものがあります。この様な条件での射撃ではまさに経験と高度な射撃技術が要求されてきます。
ところで、私にとって有利であったことは、鹿は警戒をしているものの、こちらには気付いていないことでした。400mの距離でも風向きによっては人の話し声も鹿には届きますので、とにかくアプローチは静粛にしなければなりません。
鹿の首に命中させるために、首から右へ50cm、背中の上20cmを狙い、イメージとおりに引金はおちました。 そして命中。
映像でご覧のとおり、計算通りに全てがうまくいった瞬間でした。
〈スローモーションでは弾丸が右から左へ流されていることが良く確認できます〉
射手 溝淵 哲史
撮影 プロハンターKA氏