2016年3月1日~4日 阿寒町別荘(通称:アカンハウス)基地逗留
3/1(晴れ) 基地を出発して標茶町、厚岸町方面に向かう。私の師匠、プロハンターKA氏と合流。今年は雪が少ないとはいえ、この時期に車で流していても見える所に鹿はいるはずもなく、例年のように釧路町の山に登ることにした。
スキーで歩くこと1時間20分、ようやく山の麓に着く。そこから先は、笹の上に雪が積もっているのでアイゼンを付け、スキーを持って急斜面を登ること30分。二つの尾根を越え、やっとエゾシカの越冬地に着く。自称トロフィーハンター、私は90cm以上の角しか興味はない。
約300頭のオスの集団の中に探し求めるデカイ角の化け物を発見した。確実に獲るために正確な距離を測る。420m手頃な距離だ。伏せ撃ちの体勢で、薬室に弾を送り込んだところで、急に我々の後ろから雄鹿2頭がものすごい勢いで我々を飛び越して逃げた。想定外のことが起きたのだ。その瞬間に全ての鹿が動き出した。走っては止まりを繰り返してはいるが、何しろ400m~500mある中で、さすがのMBスナイパーとしても無理であった。結局、朝9時半から山に入り、下山したのが夕方4時50分であった。あたりはすでに暗くなっていた。
3/2(晴れ) 厚岸方面の山から双眼鏡18倍率(1km先の鹿がはっきり見える)牧草地の雄鹿の群れを発見した。現場まで車で10分、スキーで歩くこと30分。牧草地の見えるところまで行くも、見えたのは逃げていく40頭ちかくの鹿の後ろ姿であった。
この場所には3回挑戦しているが、毎回気付かれてしまう。たぶん風向きが影響しているのではなかろうか。上空で風が巻いているので、臭いがとられているかもしれない。KAプロも今まで3回とも同じ状況のようだ。
2016年3月19日~21日 阿寒町別荘(通称:アカンハウス)基地逗留
最終戦も前回と同じ猟場にKAプロハンターと行く。だいたいこの時期は同じ猟場に通う。この頃の鹿の動きはほとんど決まっている。鹿達の越冬地は湿原であるが、凍っている間は湿原に接している牧草地付近を出入りしている。今年は雪が少ないため草地がほとんど現れていて、十分な青草がある。この牧草地は広大で、その半分は湿原に接している。ここはどこなのか?わかる人はわかると思う。 鹿は3時過ぎになると湿原を隊列組んで、ワングループ30頭前後で5グループもの集団が湿原から牧草地に向かってくる。牧草地に入る場所は決まっている。牧草地を通過する場所もほとんど決まっていて、ゾロゾロ上がってくるのだ。
3/19(雨) 今日は雨なので絶好のハンティング日和だ。雨が降れば湿原の氷が溶けて鹿達は一斉に動き出すからだ。私は銃を振りやすい草地の高台に陣取る。
4時前に第一陣(先発隊)の30頭が現れる。一頭一頭スコープで角を確認するも、90cm以上の角を持った化け物はいない。おそらくは最後尾の第5陣のグループあたりにいるのではなかろうか。双眼鏡で2頭いるのは以前より確認済なのだ。雨が強くびしょ濡れになった。一度車に戻り、着替えして再度挑戦する。
次から次と草地に鹿達は上がってくるが、皆、角の大きさは80~86cmくらいしかない。それにしても土砂降りが凄くなってきた。だんだんと日没時間が迫ってくる。手袋も靴も水が入りぐしゃぐしゃだ。そのままスコープを覗くこと20分、諦めかけたその時、一番右の林から上がってきたグループ(11頭)の前から6頭目にびっくりするほどの化け物、間違いなく95cmはある本命が現れた。すかさず射撃体勢に入る。距離は120m。引き金を引く直前、濡れた手袋が滑りミスショットとなる。ジ・エンドだ。 なぜミスショットとなったのか、よくよく振り返って反省する。30分前の着替えた際に、いつもと違う手袋(寒いので手袋の下にゴム手袋をはめた)の仕様となり、水分が手袋内での滑りをもたらしてしまったことが原因である。そして、その滑りの要因の一つに力み(デカ角に興奮してチカラが入りすぎた)があったのだ。 90cm以上のデカ角はシーズン通して2、3回くらいしか発見できず、希少なチャンスを自分の不注意でダメにしてしまった。ただただ今は落ち込んでいる。「興奮したらさらに冷静に対処すること」 これが今後の課題である。
この最終3日間で、角が84cm平均のものを3頭、依頼されていたメズ鹿5頭を獲り、思い出深い今シーズンも無事終了となりました。 溝淵哲史 記 |